恋愛ターミナル
夕陽も沈んで薄暗くなった頃。
園内にはまだ数人のこどもが両親の迎えを待ちながら遊んでいた。
職員室で、プリントを作成していたら『ピンポーン』と正面玄関のインターホンが鳴った。
「はい」
『あ、えぇと、原田ゆうとの――』
「あ、はい。今行きますね」
ゆうとくんのお迎えだ。
インターホンから聞いた声は男の人だった。ゆうとくんのお父さんかぁ。初めて会うな。
防犯上施錠している鍵を開け、ゆうとくんのお父さんを招き入れる。
「お仕事お疲れ様です。今、ゆうとくん呼んできますね」
「あ……はい」
あまりじろじろ見ちゃいけない。
でも、ゆうとくんのお父さんってどんな人かな? なんて、なんとなく興味があって。
パッと見た感じ、ゆうとくんはどちらかというとお母さん似なのかな? と思ったけど、ゆうとくんを連れて、二人並んだ姿を見たら、雰囲気がどことなく似ているように思えて微笑ましかった。
「それでは……失礼します。明日もよろしくお願いします」
「せんせ、ばいばーい」
「うん。さようなら」
手を繋いで歩いて行く親子を、見えなくなるまで玄関先から見送っていた。
青い作業服で迎えにくるお父さん。育児に協力的なんだな。いい旦那さんなんだな。
徹平って、そういうとこどうなんだろ? 子供は前にプラモデルとか買いに行ったときに、知らない子と盛り上がってたから嫌いじゃないんだろうけど。
いや、ただ自分の精神年齢が同じくらいだっただけだったりして。
次々と迎えに来るご両親を見て、『いいなぁ』なんて思った。
みんな、結婚して子供がいて、きっと幸せなんだろうなぁ。
ぼんやりしていて、作業が全く進んでなかった私は、慌ててキリのいいところまで終わらせると、長い一日を終えた。