恋愛ターミナル
「じゃ、本題は?」
あいにく人のノロケ話を聞く余裕は、今の私にはないの。ごめんね亜美。
空腹の胃にビールを入れ、行儀悪く胡坐をかいて亜美の話を聞く。
『あ、あのね? いずみはだめだったんだけど、今度の土曜に梓と一緒に出掛けるから凛々もどうかなーって』
「土曜……」
コンッとビールをガラステーブルに置いて、壁にあるカレンダーを見上げた。
土曜。徹平が、「休む」って言ってた。それに――。
「あー……ごめん。その日、用事入ってる」
『そか……じゃあまただね! 徹ちゃんにもよろしくね』
「りょーかーい」
ププッと通話が終了した音を確認して、ぼふっと携帯をソファに投げる。
まだ半分以上残る缶ビールに手を伸ばし、ゆっくりと口をつけながら見る先は今週の土曜日。
「……9年記念日」
カレンダーにはなにもしるしはつけてないけど、徹平、忘れてないよね?
今からしるしつけても、いかにもって感じだし。それに、ちょっと、徹平が覚えてるか試したい気持ちもある。
だって、なんだかんだ去年までちゃんとお祝いしたし。大したことやってないけど、ケーキ食べたりしてさ。
だからきっと、土曜日も大丈夫。
ほんの少しの不安な気持ちを、もう一人の自分が『大丈夫。考えすぎよ』って慰める。
深く考え始めたら、また同じところに行きついて、現状に不満を感じちゃう。
私は考えることを全部止めて、ひんやりとした布団にもぐり、いつの間にか眠っていた。