恋愛ターミナル
「公演何時だっけ?」
「え? あ、はい! えぇと、14時です!」
「……凛々センセ、超緊張してない?」
くすくすと笑いながら言われた私は、まさに図星。
顔を赤くして肩を竦めた。すると、杉中さんがじっと私を見つめる。
――え? な、なに? そんなに見られても……。
その視線に負けて、目を逸らしたくなるけど、なかなかそう簡単に出来ない。
困った目をした私を見ると、ニッと口角を上げてまた笑う。
「なるほどねー。確かに」
「え……な、なにがですか」
「イイ女、だね」
「――――ばっ、バカにして!」
ポカスカと杉中さんの腕を叩く。
あ、なんかいつもどおりになってきた。
そうだよね。外で会ったって、杉中さんは杉中さんだし、私は私だし。
そう思ったら急にリラックス出来て、肩の力がスッと抜けた。
「じゃ、入りますか」
「あ。私ハガキありますから」
「ラッキ。じゃ、メシ俺奢るね」
さりげなく杉中さんは言ったけど……。
夜ご飯、一緒に食べるつもりでいたんだ。そうか、そうだよね。
さすがに映画見て、さようなら、ってわけにはならないか。
「じゃあ高いものにしよう」
そんな冗談も交えつつ、本当は徹平がいるはずだった場所に、杉中さんがいるのが不思議な感覚になりながら映画館に入った。