恋愛ターミナル

「うん。似合う」
「あ……ありがとう……ございます」


突然のことにドキドキして、杉中さんをまともに見れない。
少し俯いて、鏡を見るフリをしてそれをごまかした。


「あ、さっき俺が持ってたスクエアの方でもいいかも」
「え? ああ、あの四角いほうの」
「こっちは大人っぽく見えるらしいから、幼顔の凛々ちゃんがかけたら大人に見えるかも」
「大人っぽく――――」


実はさっき、ふたつのメガネを見て、最初にスクエアを選んでしまったのは理由がある。

どっちのメガネが似合うか、って聞かれて想像しやすかったのが、やっぱり徹平で。
徹平ならそっちの四角いほうかな、って思って言ったけど、いざ杉中さんの顔を見たら同じじゃなくて。

そうか。このメガネ、大人っぽく見えるんだ。
ちょっと子供っぽい顔をする徹平に、逆に似あうのかも。


「買ってみる?」
「えっ、や。今日はいいです……!」
「そう? メガネの凛々センセ、これから見れると思ったのになぁ」
「私は視力もいいですから! 杉中さんだけ決めちゃってください!」


はたから見れば、ただのデートに思われるだろう。
徹平とはまた違う買い物に、少し新鮮な感じもしたけど、どうもしっくりこない。


「お待たせ。そろそろメシにする? 約束通り、ごちそうするよ」


気付けば7時前。
少しいつもより早いけど、お腹は十分空いている。


「なにがイイ?」
「あー……と、なんでも大丈夫です」
「んー、じゃ、よく行く創作料理屋でもいい?」


その提案を拒否する理由もない私は、二つ返事で了解すると、少し歩いて杉中さんのいきつけのお店に着いた。




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