恋愛ターミナル
「ふーん。確か、付き合い長いんだっけ?」
「はぁ……まぁ。9年目ですけど」
今日でね!!
そんな記念日に、あいつは今、どっかの誰かと楽しく飲んでるんでしょうけど!!
「9年! すごいね。学生から?」
「まー……高校3年からですけど……」
「へぇ。だから信頼してるんだ」
「信頼?」
「だって、彼氏、今日合コンなんでしょ? 付き合いとは言え」
――信頼……してるかと言えばしてるけど。
徹平に限ってなんかするわけないって。
「徹平くん! すごいあたしのタイプ!!」
「徹平」って言葉をすぐキャッチするように出来てる私。
盛り上がっているテーブルの方からその名が聞こえて来て、意識が捕われる。
「それはどーも」
加えて、徹平の声を聞き間違えることだってない。
今の声。間違いなく――――。
「……徹平」
私は席を立って、仕切り越しに団体の中にいる徹平を見つけて言った。
「凛々先生?」と杉中さんが私を驚いた声で呼んだけど、そんなのに構う余裕もない。
ずっと席を立ち、そのあからさまな視線に気づいた徹平も、「凛々」と名前を口にした。
合コンを黙認したのは私。今日が記念日だってことを言わなかったのも私。
勝手に杉中さんと出掛けて、ここについてきたのも、私。
だけど、だけど、そんなふうに着飾った可愛い女の子に寄り添われて、腕まで掴まれちゃて、それを目の当たりにしたら、私だって平気でなんかいられない。
「ごめんなさいっ。私、帰ります」
「えっ。凛々センセッ……」
カバンを握りしめて、ガバッと頭を下げると、徹平を見ずに店を飛び出した。