恋愛ターミナル

梓の家はそんなに遠くはなくて、30分もせずに着くことが出来た。
木造アパートの2階。でも築年数が浅いらしいから、すごくきれい。


「早々に来たのね」
「へへ……おじゃまします……」


玄関を開けて迎え入れてくれた梓に、缶ビールが入ったビニールをお土産代わりに渡して家に入った。


「ご飯はなにもないんだけど」
「あ、大丈夫! つまみ買って来たし! 明日も休みだし!」
「凛々……明日私が予定あったらどーすんの」
「あ……」
「まぁ、なにもないけど」


ちょくちょく遊びに来る梓の家。
我が家のように、リビングで足を投げ出して、缶ビールを口にする。
今度はそのビールの味が薄く感じた。


「で? もちろん理由、聞かせてもらえるのよねぇ?」


梓がプルトップに手を掛けながら言った。
お風呂上がりの梓は、スッピンなのに美人。濡れた胸までの髪がまた女の私から見ても色っぽくてドキッとする。

梓に見惚れてたら、鋭い視線を感じて、慌てて答える。


「あーと、その、長くなるんだけど」
「こんだけお酒買って来たんだから、時間はあるでしょ」
「や……えぇと……」


別に話したくないわけじゃないんだけど、こうもついさっきの出来事だと、自分の中で整理が上手く出来てない。
なにからどう説明していいのか頭を抱えていると、溜め息を吐いた梓が上手に聞き出し始めた。


「『徹平がむかつく』、って?」
「あ! そうそう! あいつ、合コン行ってて。モテてて!」
「なに? 居合わせたの?」
「偶然にね」


あの女子に言い寄られてた光景を思い出すだけで腹が立つ。
一気に飲み干した缶ビールをメキメキッと握る。

そんなあからさまに機嫌の悪い私を見た梓は、不思議そうに言った。


「でも、合コンとかっていまさらじゃないの? 初めてのことじゃないでしょ。凛々も許してたんじゃないの?」




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