恋愛ターミナル
梓の指摘はもっともだ。
よく、「今日は徹平が合コンだから、飲みに行こう」とかって梓に声掛けたりしてたから。
それに、梓も徹平と同級生で知ってるから、合コンに行かせてるって言っても、「ふーん」ってな感じで理解してたんだけど。
「まぁ、勧めてるわけじゃないけど、確かに付き合いなら。って許してた。でもね?! “今日”合コンっていうのが問題なのっ」
「“今日”? なんかの日ってこと?」
「そう! 私たちの9年目記念日!!」
感情的になって、チーズ鱈を3本くらいいっぺんに口に入れる。
「9年かぁ。すごいね。そろそろじゃないの?」
梓の質問は、もう何度もいろんな人に言われてる。
その答えを爆発させようとしたけど、口いっぱいのチーズ鱈が邪魔して話せない。
「……ちゃんと1本ずつ食べなよ」
呆れた目で見られながら、子供のように注意を受ける。
顔を赤くして2本目のビールで喉の奥に流し込むと、「ぷはっ」と息を吐いて、言いなおした。
「そうよ! そろそろなのよ! 年齢的にも付き合い的にも!!」
いきなり立ち上がって、演説かのように盛り上がる私を、梓は目を丸くして見上げている。
手を腰にあてて、もう片方でビールを持ち、空を見ながら続けた。
「なのに、結婚の“け”の字もでないし! 徹平がもたもたしてるから、杉中さんにプロポーズ的なこと言われたし!」
「杉中さんて誰?」
「職場の取引先の営業の人!」
「で? なんて答えたの?」
そうだった……。初めは“徹平がいるから”って態度で答えたけど、『結婚』てワード聞いて、即答できずに宿題になっちゃったんだった。