アイノカタチ
「なんだなんだ?
いつも強気なデカイ態度とる櫻崎は何処へいったんだ?」
社長は、ぐりぐりと片手で私の頭を捏ねくり回す。
「ちょ、やめて下さい。頭禿げるじゃないですか!」
「禿げるもんか。
こんなんで禿げるなら、世の中みんな禿げだらけだろ」
私の抗議なんてなんのその。
社長は笑いながら更に頭をぐりぐりと捏ねくり回す。
もう、こうなったら言っても無駄だと諦め、だんまりを決めて好きなようにさせる。
「ふふ、かわいいですねぇ。
まるで『祖父と孫』みたいですよ」
「誰がジジイだ。『俺』はまだ38だ!
勝手に年寄りにするんじゃない」
「えっ、38!!」
「…ん?」
「…え?」
社長の年を聞いてびっくりして叫んだ私。
その私の反応に、月希さんと武惟さんが、疑問の声をあげる。
そして、社長も呆れ顔。
「………お前、いくつだと思ってたんだ?」
「…………え、と。
40代後半………くらい。デス」
「ぶっ!」
「あ~」
月希さんは吹き出し。
武惟さんが、納得の声。
「確かに老け顔ですねぇ?」
「間違いない間違いない(笑)」
「うるさい。
お前らだって同い年なんだ。
俺が40代なら、お前らだって同じような年代に見られてんだぞ」
「どうでしょうね。
同い年でも、必ず年上に見られてたのは、そっちが多かったように思いますけど?」
チクチクと刺のある言い方で社長に月希さんは言い返す。
と言うか、お2人さま酔い始めましたかね?
社長なんか、いつも「私」の一人称が。
「俺」に変わってるし。
月希さんが更に強くなって社長より上に見えてくる。
私はいがみ合う3人(主に月希さんと社長)の間でふと、そんな事を思いながら、ちびちびお酒をついばむ。
同い年。って言ってたから、同級生かな?
社長の崩した言葉遣いや、雰囲気で月希さんと武惟さんが、一番社長にとって信頼におけるパートナーなんだなと分かる。
正直、ずっとこの関係が続くってのは、すごいなぁ、と思う。互いに立場が変わっても、根本的な部分は変わってないんだなぁ。
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