ミステイク ラブ
しばらく走って、疲れて立ち止まってみるともう家の近くだった。


バカだなあ…。


彼女くらいいるってね。



いつの間にか男らしくなって、かっこよくなって…手が届かなくなってた。


今まで彼女がいなかった方がおかしいよね。


なに期待してたんだろう…。



涙がこぼれ落ちる。



あたしはこの長いあいだ、なにをしてきたの?


本当に大切なら手を伸ばさないと意味がないのに…。




「お前、なんで…!」


「ひゃ…」



突然肩を後ろにひかれて、後ろを向かされる。



「ほ…くと……?」


いるわけないと思ってた。



「彼女と試合、どうして来たの?」



荒く息をして、額の汗を拭った北人はため息をついた。



「彼女とかいねえし。試合も放置してきた」


「さっき…」


「あいつ、先輩の妹でマネージャー!」



だんだんとイライラしてきている北人の声。



なんで、あたしなんか追って来たの?


試合のが大事でしょう?



「お前ずっと傍にいるくせに、俺の気持ちわかってねえの?」



俺の気持ち?


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