ミステイク ラブ
ひんやりとしたオレンジジュースが喉を潤す。
あたしの好きなものなんて覚えてなくていいのに…。
好きなものが、オレンジジュースにチョコレートなんて小さい子みたい。
まだまだ幼くて、ガキなあたしは嫌い。
北人の手を離してあげれないあたしは、もっと嫌い。
幼馴染って立場を利用して、ズルイ奴だよ。
あたしは机に乱暴に置かれたチョコレートに手を伸ばす。
なにも会話のないあたし達。
部屋には外で遊ぶ近所の子供の声が届くだけ。
「懐かしいよな」
口を開いた北人は、眩しそうに目を細める。
夕日に赤く染まった部屋に、同じように夕日に染められた北人。
ドクンと大きく脈打った心臓が、心が痛くなる。
「…なにが?」
誤魔化すように、北斗から目を逸らしたあたしはチョコレートを口に含む。
「昔、よく遊んだよなって思っただけ」
「…昔北人に水かけられて風邪引いた」
拗ねたように言うと、北斗は楽しそうに笑う。
「あの時は俺だって風邪引いたし」
いつだってそう。
一緒に遊んで、一緒に風邪引いて、一緒に怒られて。
「あのさっ…」
勢いよく声を発したあたしを北人は驚いたように見る。