ミステイク ラブ
「北斗って…好きな人いないの?」
か細くなってゆく声に、辛くなる。
ずっと聞きたかった事、今聞かなきゃ聞けない気がしたんだ。
「は………」
間抜けな声を出す北斗に、好きな人がいてほしくないと思う気持ちが出てくる。
「ね…、いるの?」
噛みしめるように、ゆっくりと紡いだ言葉は微かに震える。
「…っ…い…るよ」
頬を少し染めた北人に目の前が真っ暗になった気がした。
「そっ…そっかあ」
無理して笑うと、頬に変に力が入った。
「俺ら傍にいるくせに、こういう話ししなかったよな」
しみじみと言った北人に呼吸が浅くしかできない。
「それでお前はいないのかよ?好きな人」
首を傾げてあたしを見た北人に、ズキズキと痛くてしょうがないくらい胸が締め付けられる。
話を振ったのはあたしなんだから、こういう質問が来るのはきっと予想していなきゃいけなかったんだ。
でもそんな余裕なんてあるわけがない。
「…っさあ?」
曖昧にごまかす事で、自分を誤魔化しているのはよくわかってる。
「人に言わせたくせに、自分は教えないのかよ」
じっとりとした眼差しを痛いと思うくらい感じる。