ミステイク ラブ
「明日の9時から、グラウンドであるから」



こんなところが好きだなって思う。



好きな事に没頭している北人の顔とか、好きな事の話をする時の声のトーンとか。



全部、全部この10年間ずっと北人を嫌えない理由。



「なんか作ってこいよ」


「調子乗んないでよ」


ツンっと突き放した言い方になっちゃうのも、全部全部スキの裏返し。



「じゃあ明日な」


「うん」



今度は玄関から家を出る。


北人の事を名残惜しく思わなくて、すんなりと家を出れるように。



「みささん、お邪魔しました」


「やっぱり沙智ちゃん来てたんだ。またおいで」



みささんの言葉を背中に受けて、明日に少し気持ちを向けて。


あたしは家へと向かったんだ。



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