三種の神器‐戸嘴美園(こはし みその)の場合
が、しかしその時楓駕(ふうが)が乗っていた車はごく一般的な軽自動車で、決して値段の高い車ではなかった。それにファミレスで働いていたくらいだから、楓駕がまさか会社経営をしているお金持ちの息子だとは、美園は夢にも思わなかったのだ。
今考えると美園は表面上の付き合いと割り切って、楓駕とおじさまそしてチーフマネージャーの素性などいちいち詮索をしたりはしてなかったのだ。だからおじさまの告別式で葬儀に参列していた弔問客の多さと厳(おごそ)かな雰囲気に圧倒された。そしてその時おじさまって結構大規模な会社の経営者だったんだと驚いた。しかもその家の息子が楓駕だったなんて……。
と、このように取りとめもなく美園が、楓駕とチーフマネージャーとの出会いの頃の思い出に浸っている時、丁度喫茶店のドアが開いて楓駕が顔を覘かせた。尚、楓駕が店内を見回してキョロキョロと美園を捜してしていたので、美園はすぐに右手を挙げた。
するとようやく美園が座っている席が解った楓駕は、急ぎ足で美園が座っているテーブル席へと移動して美園の真向かいの椅子に腰掛けた。
今考えると美園は表面上の付き合いと割り切って、楓駕とおじさまそしてチーフマネージャーの素性などいちいち詮索をしたりはしてなかったのだ。だからおじさまの告別式で葬儀に参列していた弔問客の多さと厳(おごそ)かな雰囲気に圧倒された。そしてその時おじさまって結構大規模な会社の経営者だったんだと驚いた。しかもその家の息子が楓駕だったなんて……。
と、このように取りとめもなく美園が、楓駕とチーフマネージャーとの出会いの頃の思い出に浸っている時、丁度喫茶店のドアが開いて楓駕が顔を覘かせた。尚、楓駕が店内を見回してキョロキョロと美園を捜してしていたので、美園はすぐに右手を挙げた。
するとようやく美園が座っている席が解った楓駕は、急ぎ足で美園が座っているテーブル席へと移動して美園の真向かいの椅子に腰掛けた。