飛ばない蝶は、花束の中に
「ねぇ、お兄ちゃん」
私は、ちゃんと“雅”の部屋に戻る約束で、お兄ちゃんの部屋に入れて貰った。
初めてはお兄ちゃんがいい、なんて告白したことを、もしかしたら気にしているのかも知れない。
「髪の毛、どうしたの?あの2人」
私は、お兄ちゃんに似つかわしくない、白いアザラシのぬいぐるみに“雅”の匂いを感じて、押しのけた。
お兄ちゃんは、携帯を確認しながら、2人とも長かったからなあ、と、的を射ないような事を呟いた。
「雅の髪が…短くなった次の日に…鷹野は自分で切りやがってな」
呆れたように息をついて。
それより、と顔をあげたお兄ちゃんは。
今、母親に電話しとけ、心配してるぞ。
なんて。
ただ髪を切っただけじゃない何かがありそうなのに、それ以上は、教えてくれなかった。