飛ばない蝶は、花束の中に


“雅”も、何かが食い違っていることに気が付いたのか、私を見つめて、あれ?とばかりに首を傾けた。



「…ええっと………」


すでに腕いっぱいに抱えているのは、植物の本と、料理の本。




「…嫌じゃ……なかったなら…いいんだけど」

「嫌だったに決まってるじゃない」

「………………」



イライラする。

どうして。

どうしてこんなにも、はっきりしないの?

俯くでもなく、不快感を露わにするでもなく。




「それより」


気になってる事が、ある。


“雅”は僅かに不安そうに眉をひそめたけれど。

早いうちに、訊いておきたい。





「あんた、“タカノ”の彼女なんでしょう?お兄ちゃん、そう言ってた」


ならばどうして。


「どうして、お兄ちゃんを目で追うの?」






ぴくりと。

“雅”の目が、揺れた。



< 113 / 328 >

この作品をシェア

pagetop