飛ばない蝶は、花束の中に
「“タカノ”の彼女なのに、私のお兄ちゃんを…好きなの?」
揺れていた“雅”の目は。
一瞬、動揺したのか泳いだけれど。
ふと、息をついて私の目を。
まっすぐに。
「…うん、好きですよ」
抱えた本を、机の隅に積み上げて“雅”は穏やかに、はっきりと、そう言った。
「なら“タカノ”は…?」
「好きですよ?」
…そんなのって…
“雅”は当たり前のような顔をしているけれど。
そんなのって、ありなの?
どういう事?
“タカノ”の“彼女”っていうのは…嘘?
「………二股、ってこと?」
お兄ちゃんのメイドは“タカノ”の彼女。
“タカノ”の彼女は、お兄ちゃんのもの?
ああ、解らない。
お兄ちゃんは、何を考えているの?