飛ばない蝶は、花束の中に
「………深雪ちゃん」
重ねた本を指でなぞりながら、“雅”は声を落とす。
なんだか解らないけど、理解のできない“雅”という存在は、不愉快な気がする。
「あたし、凱司さんと寝たりしないから……」
ここに、居させて?
そばに、居させて?
深雪ちゃんから、取ったりしないから。
二度と、寝たりしないから。
頭の中心に、針を打ち込まれたような感覚が、急に。
“雅”のその未発達な体を、女に、見せた。
「……………に、度、と?」
「うん、二度と」
ごめんなさい、好きだったんです、あたし。
と。
“雅”は、至極真面目な顔でそう言うと、私が何にショックを受けているのかを知っているかのように。
よく、知っているかのように。
深雪ちゃんは、きっと。
もっと。
ずっと。
つらくなると思うから、と。
目を、伏せた。