飛ばない蝶は、花束の中に
私は。
“雅”が、わからない。
お兄ちゃんが、わからない。
わかるのは。
お兄ちゃんは“雅”を抱いた、という事だけ。
私と歳の変わらない“雅”を、一度は受け入れた、という事だけ。
しかも、付き合う、でもなく。
「明日、あたしバイトなんです。スイーツの美味しいカフェなの」
何か、買って来ましょうか?
なんて。
もう、話は終わったとばかりに切り替えた“雅”を、私はどうやって追い出したのか、わからない。
もしかしたら、ただ黙りこくる私に、“雅”が諦めて出て行っただけかも知れないけれど。
こぼれていた涙が唇を濡らした感覚に我に返ったときには、机の上の本と、人形のような“雅”は、すでに消えた後だった。