飛ばない蝶は、花束の中に
少しだけど海に入って、1日遊んだ疲れは、ベッドを見て、癒してくれと叫ぶけれど。
絡んでしまった感情は、私を寝かせてはくれなかった。
私はただ。
お兄ちゃんに会いたくて。
大好きなお兄ちゃんに会いたくて。
まさかこんな。
まさか、こんな。
ただ押し退ければいいだけとも思えない、女の子がいるなんて、思わなかった。
私のなのに。
私だけの、お兄ちゃんだったのに。
ドアの外で“タカノ”が“雅”を呼ぶ声が。
雅ちゃん鉢植え、落ちた!と。
お兄ちゃんが“雅”を呼ぶ声、が。
掃除機持って来い、と。
“雅”の、慌てたような叫びと、笑い声、とが。
私のいない、いつもの様子なのかと思うと、ドアを。
開けられなかった。