飛ばない蝶は、花束の中に
熱そうなココアと。
綺麗な綺麗な、マシュマロ。
紫色の、砂糖で象った花のついた、平たいマシュマロ。
「綺麗でしょう?」
雅は小さくドアをノックしてから顔を覗かせると、七宝焼きのような質感のカップに注がれたココアと、そのソーサーに乗せられたままのマシュマロを、机に置いた。
雅の部屋は、簡素だけれども、床に敷かれたカーペットは、きっと雅の為に敷かれたもの。
「こっち、座りませんか?」
雅は机の下から、小さな折り畳みのテーブルを出してきて、ココアのカップを移動させた。
「深雪ちゃん?」
「………………………」
なんのつもりで、呼んだんだっけ。
妙に落ち着いている雅に感じた、得体の知れない怖さが、どこから来るのか、全然解らずに。
私は黙ったまま、綺麗なマシュマロをひとつ、手に取った。