飛ばない蝶は、花束の中に
そうじゃ、ない。
や、そうかも知れないけど、そうじゃない。
訊いているのは、お兄ちゃんを好きなのに、“タカノ”にあてがわれてツラくないのか、って事。
私がどうする、とかじゃなく。
「雅あんた、それでいいの?」
「何がですか? 凱司さんは…あたし感謝してるし、そばにいてくれるだけでいいんです」
…私はココアを口にする。
溶けたマシュマロの残骸が僅かに浮かぶ、甘い、ココア。
にこりとはにかむ雅は、大人なのか子供なのか、とても曖昧だけれども。
頭が弱い事は、よく解った。
腹が立つほどに。
「…………あんた、この部屋、戻って来なさいよ」
「えっ?」
「布団、あるんでしょう?」
私がお兄ちゃんを好きな事とか。
雅がお兄ちゃんを好きな事とか寝た事とか。
何ひとつ無いことにはならないけれど。
「“タカノ”に良いようにされることはないわ」