飛ばない蝶は、花束の中に
「……深雪、か?」
怪訝そうな声と、視線。
それは高い位置からの、声。
見上げれば、私と同じ色の、瞳。
「お兄ちゃん!!」
隣に立つ女はわざと無視して、私はお兄ちゃんの、そのお腹辺りに飛び付いた。
買い物でもしてきたのか、お兄ちゃんの手にあるビニール袋の荷物なんか、知った事じゃない。
胸を締め付ける絶望感なんて。花を踏み潰した罪悪感なんて。
視界の端で、どんな顔をしているのか解らないけど、ぼーっと立ちすくんでいる、女なんて。
「お兄ちゃん会いたかった!夏休みだから、ひとりで来ちゃった!」
ぎゅうっと、抱き締める。
相変わらず引き締まったお腹に、私は頬を擦り付けた。