飛ばない蝶は、花束の中に


私が、ココアを飲み終わり、やっぱり様子を見に行こうと立ち上がった、時。

ドアの向こうがざわめいて、ノックと同時に、“タカノ”が現れた。

布団を抱えて不機嫌そうな、顔で。




「……ちッ」


うわ、最悪。
人の顔見て、舌打ち!?


投げ出すようにベッドに布団を置いた“タカノ”は、ちらりと私を睨む。



「…兄妹揃って同じような事」

聞こえるように言う“タカノ”を、負けずに睨み返して私は。


すぐ後ろについてきていた雅の腕を、引っ張った。


ふわりと香る、土のような苔のような、爽やかな甘さ。


雅の、香り。


どうやって説得したのか、明らかに渋々、といった様子の“タカノ”を振り返り、雅はまた、困ったように、笑った。



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