飛ばない蝶は、花束の中に
「宇田川さん、こんにちは」
腕いっぱいに洗濯物を抱えた雅が、笑う。
私の分が増えて、大変になっただろうに、雅は私に手伝わせようとはしなかった。
「ああ、雅さん!またそんなに抱えたら転びます!」
「……だ、大丈夫です!」
雅ちゃん、廊下に靴下とパンツとタオル落ちてた、と笑いながら入ってきた“タカノ”とも軽く挨拶を交わした彼は。
その髭を指先でねじると、手早く半分ほどの洗濯物を引き取った。
「す…すみません」
「一樹さん、あなたが運べば良いでしょう!」
「だって触らせてくれないし」
「雅さん!少しは手伝わせないと、つけあがります!」
…………ちょっと、イメージ崩れた…気がする。
こんなに、喋る人だったかしら?
こんなに小うるさい人だったかしら…。
これじゃあ…頼りに……ならないような…?