飛ばない蝶は、花束の中に


「宇田川さん、こんにちは」


腕いっぱいに洗濯物を抱えた雅が、笑う。

私の分が増えて、大変になっただろうに、雅は私に手伝わせようとはしなかった。



「ああ、雅さん!またそんなに抱えたら転びます!」

「……だ、大丈夫です!」



雅ちゃん、廊下に靴下とパンツとタオル落ちてた、と笑いながら入ってきた“タカノ”とも軽く挨拶を交わした彼は。


その髭を指先でねじると、手早く半分ほどの洗濯物を引き取った。



「す…すみません」

「一樹さん、あなたが運べば良いでしょう!」

「だって触らせてくれないし」


「雅さん!少しは手伝わせないと、つけあがります!」




…………ちょっと、イメージ崩れた…気がする。

こんなに、喋る人だったかしら?
こんなに小うるさい人だったかしら…。

これじゃあ…頼りに……ならないような…?



< 136 / 328 >

この作品をシェア

pagetop