飛ばない蝶は、花束の中に
「…宇田川。雅はいいから行くぞ」
「ああっ、はい!」
手にした洗濯物をどさりと“タカノ”の腕に乗せ、慌てたように振り返った宇田川さんは、私にニコリと、会釈をした。
「深雪、出掛けるなら行き先はちゃんと言えよ?」
くしゃりと私の頭を撫で、お兄ちゃんは、優しげに笑みを刻む。
だけど。
だけどねお兄ちゃん。
私、解せない。
お兄ちゃんがどうして“タカノ”から雅を引き離さないのか。
どうして“タカノ”を側に置いておくのか。
「深雪?」
いつまでもふて腐れんな、と。
お兄ちゃんは苦笑するけれど。
私が今朝、“タカノ”と雅を2人にしないで、と頼んだ時。
どうして私がそんな事を言うのか理解出来ない、とはっきり顔に書いたお兄ちゃんは、一体何が気に入らないんだ、と眉をひそめたでしょう?
お兄ちゃんは、私の事も雅の事も、何にも判ってない。
と。
そう、思うよ。