飛ばない蝶は、花束の中に
ぞくりと。
悪寒が走る。
二重人格なんじゃないか、ってくらい、“タカノ”の目は色を変える。
「じゃあ、自分でやればいいじゃないか」
くすくす、と。
“タカノ”の笑みは妖艶で。
私のワンピースをふわりと、投げてよこした。
「ああっ!ちょっ…鷹野さんそれは駄目です!!」
雅が縋るように叫ぶ中、私の目の前に立ち上がった“タカノ”は。
「ずいぶん背伸びしたもの、穿いてるね?」
ひらりと。
私の顔の前に、私の下着をちらつかせた。
「ちっとも…そそられねぇ」
に、と唇の端を上げ、上から見下ろして囁いた“タカノ”を。
心底嫌いだと、思った。
「……なんの…つもりですか」
引ったくった下着を握りしめた私の前に割り込んできた雅が珍しく、押し殺したような震える声で、“タカノ”を睨みあげて。
私をその背に、隠す。