飛ばない蝶は、花束の中に
そして私は。
バイト先に辿り着くまでの間に、みるみる顔色を無くしていく雅を、目の当たりにした。
どうしたの、と訊いても。
大丈夫です、としか返事はない。
駅について。
電車に乗って。
広い歩道のついた、真っ直ぐな道を行き始めた雅の後を付いていきながら、私は。
小さく息を上げている雅が、脂汗を浮かべていることに、気が付いた。
「ちょっと……ねぇ、大丈夫?少し休む!?」
「も…少しだから」
にこ、と笑みを刻む雅が、痛々しいと思った。
明らかに具合が悪そうで。
でも、この暑さの中で座らせるよりも、あそこ、と指された、アンティーク調の店まで歩かせた方が、いいかも知れない。