飛ばない蝶は、花束の中に
「深雪ちゃんは、鷹野さんが嫌いですか?」
「嫌いよ」
蓮のブラマンジュをつつき、幸せそうに目許を和ませた雅が、不意に訊いた事に、私は断言した。
「あんただって、あんなに言いなりになる事、ないと思う」
「………言いなり…ですか?」
きょとんと、目を上げた雅は、小さく首を傾げ、ブラマンジュを含む。
「……言いなり…………」
何故か二度繰り返して雅は、何を思ったか一気に紅潮すると、慌てて、立て続けにブラマンジュを口に入れた。
「あのっ……ね、鷹野さんは…優しい人なんです。ちょっと…意地悪……するけど…」
…………雅…
……………あんた…
“タカノ”に毎晩…どんな事されてるの………。
なかなか紅潮の引かない雅に軽く引きつつ、私は。
近づいてきたマスターに、口をつぐんだ。