飛ばない蝶は、花束の中に
『どこにいる!!!』
いきなり怒鳴った、お兄ちゃんの声に、私は思わず首をすくめた。
「み……雅の…バイト先…から帰るところ…」
『雅は!!』
もう、疑問形ですらないような剣幕に、私はおろおろと、目の前で息を整える雅に、携帯ごと押し付けた。
確かに。
確かに、ひとりで出掛けてはいけない、と。
雅がそう言われていたのかは知らないけれど、常にひとりでは外に出ていないようだから。
きっと言われていたのだと、思う。
そんなに、怒鳴ること?
そんなに、怒ること?
雅が、少し外でお茶飲むくらいの事が、そんなにいけないこと?
私が雅とブラマンジュを食べることが、そんなに悪いこと?
喉元にまで出掛かった不満と疑問も。
私に向けられた怒りの声に、何か固い物のようにつっかえて、呑み込むことも、吐き出すことも、出来なかった。