飛ばない蝶は、花束の中に


「何を…なさってるんですか!!心配するでしょう!!」


もがもがと、ネクタイの胸に頭を押さえられた雅が、それでも私の携帯を落とすまいと、握りしめる。


「…んん…ッ…やっ…んっ……宇田川さっ…」


苦しげに上げた声は途切れ途切れで。

腕を突っ張る事も出来ないまま、その背をまさぐるだけの雅は 、ふと、もがくのを止めた。



きゅ、と。

そのままYシャツの背を掴んだ雅が、ゆっくりと息を吐いた。



見ているのが、どことなく気恥ずかしいような。

そんな、まさに抱擁といった形で固まった、宇田川さんを客観的に眺めれば。




「…幼な妻を偏愛する…変態オヤジ…」


呟いてしまってから後悔はしたけれど、雅の髪に絡む彼の指は、妙に色っぽくて。


落としてしまったブラマンジュの入った紙袋を拾い上げてから、私は。

お兄ちゃんに謝るために、雅の手から携帯を抜き取った。



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