飛ばない蝶は、花束の中に
「すみません深雪さん、先ほど凱司さんから…」
あなたは何も聞かされていないと、聞きました。
びっくりなさったでしょう?と。
視線を雅にも向けた彼は、白いYシャツの腕に、紋様が透けてしまっていて。
笠島龍司はジャパニーズマフィアだ、と。
ママが言っていた事を、妙にリアルに感じた。
ママは。
私に会いにパパが来ることを歓迎したけれど。
私がパパに会いに行くことは、許さなかった。
お兄ちゃんも。
今の家に移り住むまでは、私を連れ帰った事は、ない。
「宇田川さん、あたし、大丈夫だと思います。深雪ちゃんと一緒に帰れますから」
少し説明致しましょう、と、黒のアウディに私たちを乗せようとした彼に。
ふと私の手を取り握った雅は、首を横に振った。