飛ばない蝶は、花束の中に


「お兄ちゃん!」

「……なんだ」


絡み付くように纏わりつく私を、邪険にはしない。


背の高さは、相変わらず。

多少、タトゥーが増えてはいるけれど、紛れもなく、私のお兄ちゃんだ。




「私のこと、夏休みの間、泊めて?」


階段をのぼりながら、チラリと“雅”を見るけれど、特に嫌がる顔はしなかった。


ただ、何かを計算するように、ふと視線を上げ、ひとりで首を傾げた、だけ。


玄関の鍵を開けたのは“雅”。



ここに、住んで…るの?

こんな…私と変わらないような歳の子が?




……訊けない。

お兄ちゃん、この子、お兄ちゃんの、なに?



訊けない。
怖い。



もし、こんな。

こんな、ふにゃふにゃした、子供みたいなヤツが。




お兄ちゃんの、大切な人だったら。



どうしよう。



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