飛ばない蝶は、花束の中に


「…………あの、ね」


雅は、ふと。
生真面目そうな瞳の色を、私に向けた。

お兄ちゃんもそうだけど、雅も、きちんと話をする時には、真っ直ぐにのぞき込むように。

視線を絡め取る。

こちらが、目を逸らせない気すらするくらい、真っ直ぐに。




「何を…どう説明したらいいのか…解らなかっただけで…」

隠そうとかじゃ、ないから…と。


宇田川さんの髭効果は無くなってしまったのか、元気の失われつつある顔で、困ったように、笑った。



「隠すことないから…訊いて?凱司さんは面倒くさがるから…あたしに訊いて?」

でも、鷹野さんには訊かないで、と。




どうして?
まず、そこから訊いてもいい?


雅は。

えぇっ?
まずそこなんですか?と、小さく笑ってから、差し掛かった花屋の前で、立ち止まった。



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