飛ばない蝶は、花束の中に


「ここ…いつも鷹野さんと寄る花屋さん」


ああ、“タカノ”があの、いちごミルク色の花を買ってきた所ね?




「鷹野さんは……あたしが大丈夫だって言ってるのに…信じてくれないんです」

凱司さんは、信じた振りをしてくれるのに。



雅はその場にしゃがみ込んで、店頭に並んだ鉢植えの花に、触れた。

花弁の赤と黄が、混じることなくはっきりと鮮やかで。

Dahlia、と書かれたプレートも、銀製で綺麗な物だった。




「……何を?」

「え?」

「何を、“タカノ”は信じてくれなくて、お兄ちゃんは信じた振りをしてるの?あんたは何が“大丈夫”なの?」



話し始めたは良いけれど、主語のない話は、理解できない。

雅の頭が弱いことはわかったから、私から質問したほうが早いに違いない。


ほら、もう雅は困ったように口を噤む。



< 164 / 328 >

この作品をシェア

pagetop