飛ばない蝶は、花束の中に
「ここ…いつも鷹野さんと寄る花屋さん」
ああ、“タカノ”があの、いちごミルク色の花を買ってきた所ね?
「鷹野さんは……あたしが大丈夫だって言ってるのに…信じてくれないんです」
凱司さんは、信じた振りをしてくれるのに。
雅はその場にしゃがみ込んで、店頭に並んだ鉢植えの花に、触れた。
花弁の赤と黄が、混じることなくはっきりと鮮やかで。
Dahlia、と書かれたプレートも、銀製で綺麗な物だった。
「……何を?」
「え?」
「何を、“タカノ”は信じてくれなくて、お兄ちゃんは信じた振りをしてるの?あんたは何が“大丈夫”なの?」
話し始めたは良いけれど、主語のない話は、理解できない。
雅の頭が弱いことはわかったから、私から質問したほうが早いに違いない。
ほら、もう雅は困ったように口を噤む。