飛ばない蝶は、花束の中に



「……あたしが………鷹野さんのお兄さんと寝たこと…かな」


「……………はっ!?」



え?
なに?
…どういうこと?

“タカノ”にお兄ちゃんがいて?
その人と雅はデキてたの?





「外……ひとりで歩けなくなっちゃったんだから……説得力もないんだけど、ね?」



意味が、解らない。

何となく解るけど……解りたくはない。



雅の指先は、花弁をなぞる。
私は隣にしゃがみ込んで。


前から…ちょっとそんな感じではあったんだけど…それ以来、知らない男の人が、すごく………怖くて。

と、囁くように呟いた雅の横顔が。


自嘲気味に笑みを浮かべたことに、ぞっとした。




「………その、“タカノ”のお兄さん…を…好…きだった?」


「………その時だけは」



その、時?

その時、…だけ……って?



…解らない。
解らないわ!

そんな事って、あっていい訳ない!





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