飛ばない蝶は、花束の中に
お兄ちゃんと、髭の彼は。
もめていた。
「このままでいい」
「ですが…またこの様なことになったら…!!」
「ならねぇよ」
お兄ちゃんは、必死に何か訴える髭の彼を、素気なくあしらいながら、私を手招いた。
「深雪」
私は、ちょっと緊張しながらも、比較的穏やかな目をしているお兄ちゃんに、近付いた。
「開けてみな」
に、と唇の端を上げて、テーブルの上を滑らせたのは、手に持っていた、小さな、細長いギフトボックス。
「凱司さん!」
「うるせぇな!このままだ、って言ってんだろっ!」
大きな声を上げたお兄ちゃんに、雅がキッチンで、びくりと首をすくめるのを目の端に。
私までビクビクと、お兄ちゃんと、髭の彼とを見比べてから、そっとリボンを、はずした。