飛ばない蝶は、花束の中に
「つーか今日、雅ちゃん返してくんない?」
がらりと表情を変えた“タカノ”は、雅が枕にしているクッションを抱き締めて起き上がり、そろそろ限界なんだよね、と呟いた。
「………また…あの子に変なことする気!?」
「変な事?」
何、変な事、って。
と、ふと戻った“タカノ”の、小馬鹿にしたような笑みは、私を慌てさせた。
…だって。だって!!
「か…可哀想じゃない!!」
“タカノ”に言っちゃ悪い気がするから言わないけれど。
雅はお兄ちゃんを好きなんだから、なんて、さすがにそんな事…言えないけど……!!
「あっ…あんな…事!!」
「どんな事?」
どっ………
「ねぇ、どんな事?」
からかわれているのは、解る。解るんだけど。
解った所で、わざとらしく馬鹿にした笑みを浮かべる“タカノ”は……そんじょそこらの男の出す色気なんかじゃなくて。
思いあまった私は思い切り、“タカノ”の頬を、ひっぱたいた。