飛ばない蝶は、花束の中に


「……いっ…てぇぇ」



くすくす、くすくす、と。

可笑しそうに含み笑う“タカノ”は、私に叩かれた頬を押さえて、立ち上がった。




「なに赤くなってんの」


可愛いねぇ、雅ちゃんには全く及ばないけど、と。

“タカノ”は、床にへたり込んだ私の頬を、指先でなぞった。



「殴られついでに言っとくけど、別に無理強いしてないよ?」

無理はさせるけど、と続けた“タカノ”に、我に返った私は、再び振り上げた手を、掴まれた。





「雅ちゃんに“無理に”手を出せるのは凱司だけ」



わかんないだろうなぁ、と。

奇妙に歪んだ笑みを見せた“タカノ”は、そのまま私の手首を離して後ろを向いた。



「まぁ、宇田川さんの言うことは、大して気にしなくて大丈夫だよ」

きっとそろそろ、落ち着いたろうから、見てくるよ、なんて。



この人は、意地が悪いの?
それとも、優しいの?


私の手、こんなにジンジンしてるのに。




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