飛ばない蝶は、花束の中に



「やっと少し、時間が空く。悪かったな、構ってやれなくて」



………え?

お兄ちゃん、怒らないの?
だってまだ…こんなに空気は緊張し…………


………………あれ?




……床には、慌てて突き飛ばさんばかりに、雅を押しやる髭の彼と。
引き剥がすように雅を腕に閉じ込める、楽しそうな“タカノ”。


真っ赤な泣き出しそうな顔で、尚も髭の彼に手を伸ばす雅の、バタバタとした空気。




半ば唖然と、お兄ちゃんに視線を戻せば。

お兄ちゃんは肩を竦めて、馬鹿だろ?と。

咥えた煙草に、火をつけた。





「宇田川」


はっ、と弾かれたようにこちらを見た髭の彼にお兄ちゃんは。


撫でてやればすぐ気が済む、と。
苦笑した。



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