飛ばない蝶は、花束の中に
「なんで来たときに言わなかった」
だっ…て。
だって。
お兄ちゃんが…。
「…妹じゃ…なくなるかも知れない私を…泊めてくれないんじゃ…ないかと…」
私、お兄ちゃんの妹だもん。
繋がりが、なくなるなんて。
お兄ちゃんがお兄ちゃんじゃなくなるなんて。
「私、お兄ちゃんを好きなの」
“兄”じゃなく、お兄ちゃんが好きなの。
だけど、私は妹っていう繋がりしかない。
それしかないのに、それすらなくなるなんて。
「…無くなりゃしねぇだろ?」
「でも!」
「無くなりゃしねぇよ」
くしゃくしゃと私の髪を撫でた手の大きさと、苦笑の混じったその顔は。
それで思い詰めて、抱いてくれなんて言ったのか、と。
まるで“タカノ”のようにくすくすと、笑った。