飛ばない蝶は、花束の中に
雅が、言っていた。
“あたしたち、そういう事に興味を持つ年齢よね”
って。
“初めて、は、好きな人と…がいいよね”
って。
酷く、淡々と。
まるで、自分は蚊帳の外、みたいな顔で。
まるで。
自分は違ったけど、といった顔で。
「お兄ちゃんは…雅の…、何人目?」
「……………」
咎めるように眇められた目に、私は思わず、口を噤んだ。
「………ひとり目、だ」
吐き出すように、呟いたお兄ちゃんに驚いて、私は逸らしていた目を、真っ直ぐに。
私と同じ色合いの、揺らがない目の奥を、覗き込んだ。
「でも!」
「深雪」
小さな子をあやすような。
そんな響き。
再び口を噤んだ私の頭を撫で回し、なんでお前とそんな話、しなきゃならないんだ、と。
お前はちゃんと恋愛して、せめて血のつながりのない男と、しろ、と。
至極真っ当な事を。
言った。