飛ばない蝶は、花束の中に
「……お兄ちゃんは…私がドイツに行っちゃっても……いいんだ?」
ああ、私、すごく困らせてる。
私、どうして欲しいの?
お兄ちゃんに、何て言って貰いたいの?
「………そうだな…」
案の定、お兄ちゃんは困ったように首を傾ける。
「遠いからな……正直、少し寂しい気はするな」
「私はすごく寂しい!!」
ほらもう、お兄ちゃんは私を引き留めない。
もう、行くことに、決まっている。
行く、っていう前提で、喋ってる。
「でもなぁ深雪。お前の母親…再婚するかも、って言ってたけどな」
よく考えてみろ、
お前の母親も、俺の母親も。
龍司と結婚してないだろ?
だから、今更母親が結婚して、血の繋がらない父親ができたって、俺たちの関係は…ほんの少しも変わらないと思うぞ?
お兄ちゃんは。
小さな子に言い含めるように。
とても困った顔で。
そう、話した。