飛ばない蝶は、花束の中に
「……だけど…」
何となく、お兄ちゃんの言うことは、解る。
「…………雅、は?」
いつでもそばに居られる雅は、私よりも、優先?
ねぇ、私と雅。
どっちも一緒に困ったら。
私のところへ、来てくれる?
「……………」
お兄ちゃんは、じっと私の目を見て口を、噤んだ。
解ってる。
比べるようなもんじゃない、って言うんでしょう?
私は妹で。
雅は他人。
比べるような、立場じゃない。
だけど。
だけど、窮地に立場は関係無くて。
もし、2人一緒に溺れたら、どっちを助けるの?
お兄ちゃんが私を更に引き寄せた。
「……深雪、だな」
雅には、鷹野がいる。
鷹野がいるうちは、深雪、お前が先だ。
シャツを着ないままの胸に、頭を抱かれて。
私にとっては甘い甘い台詞を囁かれて。
優越感と幸福感は波のように押し寄せたけれど。
私のささくれたような感情は、やっぱり何かに引っかかっていて。
チクチクとした痛みは、引かなかった。