飛ばない蝶は、花束の中に
だって雅は、お兄ちゃんが好きなのよ?
って。
言っちゃ、駄目かも知れない。
“タカノ”にあてがわれた今の状態を、受け入れてるのは、あの子自身だ。
お兄ちゃんは、知らない風でもないのに、どうして?
“タカノ”に、どうして?
「……まあ、仕方ないだろ?」
苦々しい笑みを浮かべたお兄ちゃんは、どことなく愉しそうでもあって。
私は、ふと。
奇妙な、恐怖にも似た感覚を、頭の隅に感じた。
あ、れ…?
…もしかして…。
「あいつがいい、って言うんだから」
……あいつ、って?
どっち、のこと……?
まさか…違う、でしょう?
ドアがノックされて。
そのまま終わってしまいそうな話。
僅かに浮かんだ、お兄ちゃんの、苦笑。
私はどうにも…不安になって。
ドアを開けようと背を向けたお兄ちゃんの背中に。
抱き付いた。