飛ばない蝶は、花束の中に


「…きゃあ…っ」


お兄ちゃんは、そんな私を腕に引っ掛けて、投げ上げるかのように勢いをつけて抱え上げると、至近距離で、片眉を上げた。




「…さすがに小学生の頃とは違うな」


やんわりと。
線を引かれた気が、した。


お兄ちゃんは、二度と私に、言わせないつもりなのかも知れない。

私を抱き上げたまま、ドアを開けた。




「……なんで抱っこしてんの」

「いいじゃねぇか、ひとりきりの妹だ」



呆れたように肩をすくめた“タカノ”の姿に、さらりとそんな事を言ったお兄ちゃんは、私を降ろさない。

降ろさないまま、に、と笑うと、雅はすぐに落ち着いたのか、と、声をひそめた。



そういえば、雅を連れ出したこと。

私、まだ誰にも叱られてない。



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