飛ばない蝶は、花束の中に
そうか、その程度で済むようになったなら上出来かもな、と。
私を抱き上げたままのお兄ちゃんは、私が至近距離で見つめていることなんか気にしていないかのように、微かに微笑んだ。
あげられない。
雅に、お兄ちゃんはあげられない。
だけど。
「…可哀想だわ」
“タカノ”は、優しいのかも知れない。
“タカノ”は、雅を好きなんだと思う。
だけど。
あの子はお兄ちゃんが好きって、言った。
“タカノ”を嫌いだとは言わなかったけれど。
「さっきの青い髪飾り、つけてあげるから降りといでよ」
お兄ちゃんの首に腕を回していた私を、呆れたように見やって、“タカノ”は。
ここに居る間は、絶対に雅を好きにさせない、と私が漠然と考えている事も知らずに、私を助け降ろそうと、手を伸ばした。