飛ばない蝶は、花束の中に


「………どうして?」


「え?」

「どうして、こんな……」


いかがわしい仕事を、わざわざ雅の目に入るところで、やってるの?


私はいきなり、そんなようなことを、訊いた。





「………雅ちゃん、なんか言ってた?」


「言わないわよ!言わないから腹立つんじゃない!」



いかがわしいと言われたことに、否定はなかった。

自覚、あるんだ?




「……雅、急にバイト入って、今そこまで…連れてきたから……帰りはあんた連れて帰って来て」


「え、大丈夫そうだった?」

具合悪くならなかった?と、さも心配そうに言うもんだから。




「あの子があんなに我慢しなきゃいけないのって、誰のせいなの!?」


どれだけ雅を好きなのか知らないけど!!

こんな仕事、目の前でして!!

お兄ちゃんをあんなに好きなのに!!



あんたに拘束されてるだけでも可哀想なのに!

あの子はあんたに従順なのに!



あんたはあの子の目の前で他の女とイチャイチャするの!?



お兄ちゃんも酷いけど、“タカノ”、あんたは許せないわ!




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