飛ばない蝶は、花束の中に


短いカーテンで、閉じ込められたような、空間。

小さなテーブルと、ティーセット。


何をしていても、敢えて覗き込まなければ、私たちの姿は見えないはずだ。

逆に言えば、何をされても、他の誰かは、知らない振りが可能な、空間。





「……私が…お兄ちゃんを好きなことなんか…関係ないじゃない」



私が言っているのは。

“タカノ”、あんたが。

どうして雅に固執して、閉じ込めてるのに、雅だけを見ていないのか、って事よ。

どうしてわざわざ、雅の見えるところで。


こんな風に、他の女の髪を梳いて。
さり気なく顔を寄せて。

やわやわと、長い指先で肌を掠めて。


自分がどうすれば綺麗に見えるか、熟知したように。


ともすれば、唇が触れそうな、距離。

本当ならば、甘く甘く、綺麗だとでも、囁くのかも知れないような事を。


平気で出来ちゃうの?



…………って、こと、なのに。





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