飛ばない蝶は、花束の中に


こんなに。
こんなにも。

ほんのわずかたりとも。

揺れてくれない、なんて。




「私……妹じゃない方が良かったなんて…初めて思った…」


雅には…揺れたくせに。
雅の想いには、応えたくせに。



「…俺は、深雪が妹で良かったけどな」

血縁ってのは、切ったつもりになったとしたって、切れやしねぇもんだからな。



そんな風に、お兄ちゃんは。

やっぱり、私がしたキスなんて、なかったかのように。

いつも、私が何か、小さな失敗をした時のように。


気が付かない振り、とでも言うのか。




「……どうして、無視するの」

「…無視?」



どうしてお兄ちゃんは、そうやっていつも。

私の気持ちを流そうとするの?




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