飛ばない蝶は、花束の中に
私は。
何がなんだか判らなくて。
ひどくつらそうに目を逸らしたお兄ちゃんを、ただ馬鹿みたいに、見つめた。
私、なんてこと、言わせちゃったの…?
なんてこと、言われちゃった、の?
ちらりと。
それでもいい、って。
それでもいいから、って。
思ったけれど。
良いわけ、ない。
お兄ちゃんは、どうして敢えて、雅の名前を出したの?
私が、一番ショックを受けるだろう、名前。
最初から。
もしかしたら、もしかしたら、って。
ずっと思ってた。
私はそれが嫌で。
お兄ちゃんが、誰かを好きだなんて、嫌で。
見ないように…見ないように…してたのに。